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最近は剣士の…
とろぉち
育ててます。
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……違う!
ちょっと暗いお話なんで、一応ふせとくよ(´・ω・`)
_____
愛猫が逝った。昨日の晩のことだ。
名前はミュウ。十二年前にやってきて、私が名前をつけた。
昨日、午前中までは、なんとかふらふらと動いていたけれど、午後からぴくりともしなくなった。だから、病院に連れて行くことになった。
私は部屋にいて、そうしたら父が教えてくれたのだ。
「ミュウを病院に連れて行くよ、お前も行くか」
その翌日、詰まるところの今日は、家庭訪問があった。担任が風水をかじっていて、部屋を見るというので、掃除をしている最中だった。
「掃除をしなきゃいけないから、私はいいや」
「ミュウ、もう死にそうなんだ」
ぐったりとしたミュウを抱えた母が、玄関から声を張った。
「帰ってきたら死んじゃってるかもしれないけど、いいの?」
掃除は終わってないけど、でも、それどころじゃなかった。
すこし迷った後、私も車に乗った。
病院も車も大嫌いなあの子は、弱弱しくもぎゃあぎゃあと言っていて、私は涙が出てきた。もしかしたら、もう最期なのかもしれないって。
悲しくはなかった。ずっと前から覚悟はしていたから。でも、それでも、理由もなく涙が流れた。嗚咽すらもらさずに、ただ、涙がこぼれた。
病院に着いて車を降りると、ミュウはぴたっと鳴き止んだ。耳がぴくぴくと動いていた。
受付を済ませて、診察台に乗せた。横たわったまま、動こうともしないミュウを見て、私はまた泣いた。
「いいんだよ、ずっと一緒にいたんだから」
母が言った。私は口を歪めて、笑った。
「ああ、もう。人前で泣くのなんて、何年ぶりだろう。涙は止まらないのに、ほら、口は笑ってんの。変でしょう」
ミュウの体温は、もう人間よりも低かった。三十三度だって聞いた気がする。
動けなくなった原因は、昔ケンカをした時に感染していたらしい、エイズ。
老衰で弱ったせいで、発祥したそうだ。
もしかしたら、って思ってた。ふらふらしてても、よたよたしてても、もしかしたら私が二十歳になるまで生きてるんじゃないかって。
私が仕事に出かけようとしたら、なぁあおって煩く鳴いて、頭を撫でてやってから家を出るような、そんな妄想を膨らませていた。
それはまるで腫瘍のように大きくなって、癌のように私の心を蝕んでいった。
だから今まで、病むことで私は救われてきたのだ。
その妄想も、潰えてしまったのだけれど。
家に帰る途中、母が寿司を買うといって車を出た。
その日は弟の誕生日、兼、母の日で、我が家ではイベントの際に、パックか回転の寿司を食べると決まっていた。
ミュウはぎゃあおと鳴いた。
家に着くと、私はすぐ部屋に入った。水拭き途中だったから、バケツがおいてある。
私は掃除をした。黙々と。
そして思った。やる事があるというのは、幸福であると。
五時四十分ごろ、食卓にパック寿司が上がった。いつもよりも一時間くらい早い。
テレビを見ながら、普段と変わらない風に、晩御飯を食べた。
あそこのスーパーで買ったんだけど、海苔の質が悪くなったなぁとか、わさびの量がめちゃくちゃだとか、文句を言ったりしながら。
最後に紅茶のシフォンケーキを食べて、それぞれの時間に戻った。
両親はテレビを見ていたし、弟は部屋でゲームをしていた。私は引き続き部屋の掃除をしていて、たぶん、二時間くらい経ったときだった。
ノックの音が聞こえた。
「ミュウ、死んじゃった」
母が言った。
「まだ温かいから、気づかなかった」
父が言った。
ミュウは死んでしまっていた。柔らかいまま、温かいまま、がりがりに瘠せた体を横たえて、眠っていた。
「埋めてやるのは、明日になるかな」
母はしばらく考えて、訂正した。
「やっぱり、今みんなで埋めてあげようか。朝は忙しいし」
父が白い毛玉のようなそれをタオルに包んで運んだ。
外はなんだか明るくて、私は空を見た。
「月がキレイだ」
ぽつりと言った。
毛玉は、家の真ん前に埋めることになった。
父が穴を掘った。気の根っこが邪魔でしょうがないだろうに、力一杯掘っていた。
変わりにタオルを抱えていた母が、私に言った。
「抱っこする?」
「……ちょっと、ダメだわ」
「変わらないよ」
そう言うけれど、無理に見せようとはしなかった。
母はタオルに顔を近づけて、冷たい鼻にキスをしながら、小さな声で言った。
「ミュウ、ミュウミュウミュウ。ミュウや、ミュウやーい」
赤ん坊をあやす様に、抱えたそれを揺すりながら、小さな声で、言った。
夜の闇はそれを響かせ、私の鼓膜を振るわせた。
また、涙が出た。
悲しくなんかない。覚悟はしていた。
穴は、埋めるモノの二回りも大きかった。
「これなら、窮屈じゃないね」
母はタオルから毛玉を出して、そっと穴に横たわらせた。
土をかける前に、弟はそれを触っていた。
「温かいね」
私を除いた三人は、土をかけた。
私は一歩後ずさりして、ただ遠巻きに立っていた。
病院にいくときから一度も彼を、そしてそれを目にしなかった。
私が一番最後、彼に触れたのは、午前中のことだった。
階段のところでにゃあと鳴いたから、上がれないのかよ~。なんて言いながら抱え上げて、そして二階で降ろしてやったのだ。
生きていた彼に触れてしまったから、私はその死に触れられなかった。
土をやさしくかけて、作業が終わった。
これでウチの庭にいる猫は、四匹目。
どの子にも、サヨナラなんて言ってない。言う気もないけれど。
弟の誕生日が終わるまで、あの子は待っていたんだと思う。
昨日の晩はキレイな三日月だったから、きっと道に迷うこともないだろう。
悲しくはない。心が痛むこともない。だって覚悟していたから。
ただただ、今も涙が流れてる。
___
部屋に戻って、私は自分に、馬鹿だなあと言った。
毎日毎日、腕に生傷作ってまで仲良くなろうとしたなんて。
解ってたのに。自分よりも先にいなくなるって。
我が家にこれ以上猫が増えることはないだろう。
まだ一匹いるから、もう一度こんな目にあうのだろうか。
だからといって追い出せるような人間は、ウチにいない。
猫の魂は七つある。
猫が死んだときその魂は、どうなるのだろう。
きっと、それぞれが行きたい場所にいくのだろう。
空に還るものもいれば、土に還るものもいる。
もしかしたら、人の心に住み着くものだっているかもしれない。
さようならなんて言わない。だって、今も家の前にいるのだから。
本当は三日前のこと。
でも時間が取れなくて、書けなかったんす><;
ほんとにもうボロボロ泣いて、でも次の日からは、今までどおりに暮らしていました。
ただミュウがいないだけの生活。
覚悟していたから、解っていたから、私は今生きているんだろうな、と思います。
母が心配していました。
「ミュウがいなくなったら、お前は壊れてしまうんじゃないか」
特に可愛がっていたからなぁ、私は……。
以外に壊れなかった。
泣いていたときは、いっそ壊れたかったとか思ってみたけれど。
まあ、ね。
せめて傍にいる間だけでも、たっぷり遊んでもらいましょうや(´・ω・`)